クリストファー・ワイリーさん著「マインドハッキング―あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア―」(原題は「Mindf*ck」)を読んでいる。今1/3くらい。
きっかけは次のビデオの本書紹介。2016年のFacebookでのCAの件は、本書で、もっと知りたくなった。
SNSと心理戦争① 今さら聞けない“世論操作”(2020年10月29日
https://www.youtube.com/watch?v=tDx6uttbaYc
SNSと心理戦争② フェイスブックの“闇”とは(2020年10月29日)
人の特性をBig Dataから5つの変数でモデル化(Oceanモデル: openness to experience, conscientiousness, extraversion, agreeableness and neuroticism)した上で、最も確実に結果に影響しそうな層にアプローチする事がゲーム展開上有利になる、ということらしい。
これは選挙に留まらず、消費行動を含む集団行動を合理的に予測し、結果に影響を与えうる、と言っているのだから大変である。
2016年、ケンブリッジアナリティカはやり玉に挙げられ、今は原型をとどめていないのだと思うが既に解散しているが、トランプさんの選挙参謀は有権者データを持っていたから、2020年選挙でもこれだけ追い上げてきているのかも。
ロジックの細部に興味がわくが、本書は登場人物同士の人間関係をスリリングに描く事に力点が置かれていて、ロジックにたどり着けるかどうか。
--> 11/12 追記
読了。
本書の概要は、こちら(↓)の梶谷さんの書評で、うかがい知れる。
「トランプ大統領誕生」と「ブレグジット」の裏にはこの男がいた!
私は「動かせる票は数%程度であり、3対7で負ける状況を51対49でひっくり返す程ではないのでは?」という気がする。
公開困難な事情があるのもしれないが、数字での影響度評価が無いのが残念なところだ。
中国の未来
仮にテックジャイアントが国家を上回る程の力を持つようになると、民主的国家は軒並み脆弱性を露呈することになる。
ところが共産圏、特に中国は一定数の共産党員を役員に配するなど、西側では考えられない国家統制が強力に機能しており、テックジャイアントと共産党が共に発展する状況が続くのだろう。これは中国国民にとって、また周辺国にとってどうなるか、引き続き注視するほかない。
日本の脆弱性
米国に多くを依存し、多くを無批判に受け入れ、自分たちの手で状況を変えていこうという気概の薄い日本は、同様のマインドハックで骨抜きにされるリスクが一層高いのではないか。マスコミによるファクトチェックが機能しておらず、フェイクニュースに振り回されやすく、国民の分裂を招き易い構造があるからだ。
GDPRの妥当性
著者は「法規制について立法府への提言」として次の4つを挙げている。
1 インターネット版建築基準法2 ソフトウエアエンジニアの倫理規範3 インターネット公益事業4 デジタルコモンズの受託者責任(スチュワードシップ)
大いに頷けるアイデアである。
思えば、GDPR登場時、制裁金の額の巨大さに驚愕したのだが、今になってみて欧州人のリスク感受性に脱帽である。
--> 11/17 追記
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